2020年12月28日に発売されたジャンプGIGA 2021 WINTER。

ジャンプの増刊号であるこの雑誌には、新人作家の漫画が掲載されています。
それら漫画の紹介と、ネット上の感想をまとめました。
- まとはずれQ道部 原作:西尾維新 作画:岩崎優次
- 罪人闘士 クリミナル・ウォーリアー 町田麗弥
- SAND STORM BOADERS 乾修太朗
- 匣詰のゾールシカ 遥川潤
- 学生服の回収屋 山本柊哉
- バンドで死ね 川村和
- 梅雨前線異常状なし 道広なおる
- 殺し愛 立石拓磨
- 生存競争 原田哲雄
- 地獄ノ侍 中野信輔
- Xの球星 原作:黒木渉 作画:田代弓也
- 棺-HITSUGI- 林龍也
- 神切橋の橋渡し 原作:平尾友秀 作画:松谷ゆうた
- ジトク 浅井おくた
- いろはの言霊 波風凪
- ルリドラゴン 眞藤雅興
- ギフテッド 平たくみ
- Allez!! 原作:松下村塾 作画:ジョンドン
- 花は死にたがる 中村ひなた
- COME TOGETHER 福地優人
- 奇怪呪壊師解奇譚 比名たろう
- 学ランAWAY アキノリ
まとはずれQ道部 原作:西尾維新 作画:岩崎優次
ある高校の生徒が無差別に弓矢で射抜かれる事件が勃発。
そこで目をつけられたのが問題児が集まり弓道部の部室を占拠している「Q道部」。
アーチェリー、和弓、ダーツを扱う3人の問題児とそれを束ねるリーダーが真犯人を導き出す。


ネット上の感想
キャラの名前が面白い。
矢継ぎ早に言葉遊びが来るので読んでる間ずっと楽しい。
セリフがとにかく愉快で、読んでいて楽しい。
キャラが立っていて読み切りなのに馴染みを感じる。
筆者の個人的な感想
言葉遊びが面白い。
さすがにストーリーやキャラがしっかりしていた。
罪人闘士 クリミナル・ウォーリアー 町田麗弥
世界中から集められた極悪犯罪者が収監される極秘施設「SHEOL」。
収監された犯罪者は、惑星の統括権を懸け、エイリアンとの決闘を余儀なくされる。
地球の命運を懸けた戦いに、17歳のひ弱そうな少年犯罪者が挑む。


ネット上の感想
暴力しかない漫画だが、シンプルにゾクゾクした。
意外と見たことがないストーリー展開なので、作者には作劇センスがあるのかもしれない。
敵のセリフを違う言語で書くことで、拳を交えて会話するという部分が強調されていて良い。
筆者の個人的な感想
言ってしまえば、異端な主人公が活躍するだけの漫画なのにやたら楽しく読めた。
戦闘を会話よりも素直になれるコミュニケーションととらえる主人公に、認められないながらも魅せられていく国連職員に共感できたのもよかった。
SAND STORM BOADERS 乾修太朗
地球温暖化により砂漠の海と化した地球。
砂漠独自の生態系が芽生え、化け物に人類が淘汰されようとする中、そのはちゃめちゃな世界で面白い映画を撮ることを目的とする主人公一行。
映画作りに何かが足りないと苦悩する中、盗賊に追われるヒロインがやってきて・・・。


ネット上の感想
滅びかけた世界で夢中でバカをやっている主人公たちがとにかく痛快。
キャラクターも、スチームパンクの世界観も素晴らしいので高評価。
わちゃわちゃしてて楽しい。BEASTARSやチェンソーマンな雰囲気があるのに明るくて強い。
初期ONEPIECEを彷彿とさせる世界観に、なんともいえないB級映画感が合わさってめちゃくちゃワクワクした。
スタイリッシュな絵柄×アクション×ディストピア…なのに、はちゃめちゃに明るい漫画で楽しかった。
筆者の個人的な感想
敵も味方も楽しんで戦闘しているのが読んでて楽しいしわくわくできる。
最後の大ゴマでカメラ目線で笑っているシーンも好き。
砂漠化した世界を、クソだというヒロインと面白いと捉える主人公の対比もよかった。
匣詰のゾールシカ 遥川潤
人形工房で働く主人公と、主人公の作った人形に取り憑いた幽霊が営むお店に
謎の少女がやってきた。
欲しい人形があるので、それとそっくりなダミーを作って本物と取り換えてほしいという依頼を受け・・・。


ネット上の感想
ホラーのドキドキもあり、話が伏線ありでしっかりまとまっていて綺麗な構成になっていた。
主人公が人形を作ってたオチは、主人公の得体の知れなさが深まって好き。
映画的な演出が多くて読んでてハラハラさせられた。
筆者の個人的な感想
宗教観の話など、興味深く感じられる要素を作品に入れているのがいい。
人形を作ったのが実は主人公だったという真相も好きだった。
ただオズウィンとルフェナの区別がつきにくく、何が起こっているかわかりにくい場面がかなり多かった。
学生服の回収屋 山本柊哉
神が宿る武具「神器」を回収することを生業とする主人公。
ある日主人公の元に、最上級の神器「草薙」の回収を依頼するヒロインが現れる。


ネット上の感想
鏡を使ったバトルが秀逸。世界観や絵にもセンスを感じた。
スマートな戦い方をしそうな見た目のキャラが、頭を使ったゴリ押しタコ殴りをするのが最高だった。
筆者の個人的な感想
合わせ鏡で手を反射させて無限に殴り続けるという能力が新しい。
最後ヒロインの親は死んでいなかったオチは笑えたし後味がよくてよかった。
バンドで死ね 川村和
バンドを組みたい願望を抱き、軽音部のある高校に入学した主人公。
しかし軽音部にいたのは音痴なボーカル1人だけだった。
部員も少ない上に、音痴な歌を垂れ流すのは風紀違反だと廃部の危機が訪れる。


ネット上の感想
鋼メンタルの部長が泣く演出がグッと来た。
バンドをやる動機や、演奏した後の高揚感などが上手く描写できている。
ラップを出してくるのが予想外で、いい意味で意表を突かれた。
筆者の個人的な感想
ギターの音で首をはねてる見開きのシーンがマジで好き。
そのあとのギターを弾いてるコマもかっこよくて、ギターを弾くポーズを魅力的に描けている。
バンド漫画で演奏描写を魅力的に描けてる時点で大成功だと思う。
ただ、一番風紀を乱してるのは巨乳発言はさすがにどうかと思った。
梅雨前線異常状なし 道広なおる
気象を操り天災をもたらす怪物「天鬼」が存在する世界。
天鬼と同じ力を持ち天鬼を退治する天気術士(キャスター)である主人公は、雷恐怖症でまともに戦うことができていなかった。
敏腕だがギャンブル狂の先輩の活躍の陰に隠れる彼だったが・・・。


ネット上の感想
発想がすごい。怪獣と戦艦の空中戦とかサーフボードで空飛ぶ美少女とか、上手く描ければ絶対に面白くなる。
ヒロインが廃課金者という設定も親しみやすく、真面目にやると敷居が高くなりがちなオリジナル世界物の弱点をうまくカバーしている。
現実に異常気象でえげつない被害が出ているので、それを敵に持ってくるのが着眼点がいい。
今までにない設定なのに王道の匂いがする。絵が上手くバトルシーンも迫力十分。
筆者の個人的な感想
「天鬼」という発想が面白い。それを退治する人たちを「キャスター」と称するのも現実とマッチさせてる上にかっこいい。
あまり漫画と関係ない部分だけど作者紹介欄に「でかい船いっぱい描いたので見てね
!」と書いてあるのがなんかほのぼのしててよかった。
殺し愛 立石拓磨
凄腕の殺し屋だが、女性への免疫がない主人公と、同じく凄腕の殺し屋でありながら、少女漫画的な展開に目がないヒロイン。
お互いにお互いを殺す依頼が舞い込み、互いの弱点を突いた攻防が始まる。


ネット上の感想
ターン制でギャグを挟む構造がよかった。エロもちょうどいい感じ。
殺しのスキルと純情さのギャップがいい。
ヒロインがペンで銃弾を受ける冒頭のシーンがめちゃくちゃ熱い。
筆者の個人的な感想
お互いを殺すため弱点を突きあう流れになるのが予想外で面白かった。
読みやすい絵で何が起こっているかわかりやすい。
生存競争 原田哲雄
樹から受け継いだ特殊な力を持つ生物「トンマ」に人類はボコボコにされていた。
トンマと同じ力を持つ「蓄託(チクタク)」である主人公がトンマを倒すために戦う。


ネット上の感想
セリフにリズムがあるのでどんどん読めた。
「トンマ」「蓄託」などのネーミングセンスが面白い。
アクションシーンに迫力があった。
筆者の個人的な感想
主人公のセリフにパワーがあり、キャラクター性があるように感じた。
ただ主人公のことを、あと1歩行ってれば魅力的になりそうながらも、なんかサイコパスっぽい悪い意味で気味が悪いキャラのように感じてしまった。
地獄ノ侍 中野信輔
現世に彷徨う悪霊を祓う霊葬師(おくりびと)である、幽霊の主人公。
心霊現象に取り込まれた友人を助けるべく、霊感を持ったヒロインが幽霊の主人公に助けを求める。


ネット上の感想
王道な設定と見たことがあるような展開なのに面白く読めた。
頭に刀が刺さっている理由がしっかり描写されていて良かった。
敵の最終形態のデザインが好き。
全体的にレベルが高いけど個性やインパクトがもっと欲しい。
筆者の個人的な感想
「鯔背」を信条にしている主人公に好感が持てた。硬派な侍感が出ていてかっこいい。
戦闘が常に主人公ペースだったのも、面倒くささがなくて読んでてストレスがなかった。
デザインも性格も特別特徴がないヒロインにもなんか好感が持てた。
Xの球星 原作:黒木渉 作画:田代弓也
試合中の大事な場面のミスから野球をやめ、自堕落な生活を送っていた高校生の主人公。
甲子園の視聴率が90%を超える星からやってきた宇宙人が、彼を再び野球に戻すため地球にやってくる。


ネット上の感想
表情の描き方や、アクション、コマ運びが上手く、話も面白かった。
主人公が徐々に野球をやりたくなる描写が上手い。最後の野球やってもいいかなの見開きも素晴らしい。
宇宙人がどのような練習メニューを考えるのか、連載で読んでみたい。
筆者の個人的な感想
SNSで話題になることで、野球部の仲間が主人公の元に駆けつけてくるという流れが、現代風なリアリティを持った辻褄の合わせ方ができていて良いと思った。
読んでいてどうしてもレベルEとかぶるものを感じてしまった。
棺-HITSUGI- 林龍也
謎の男によって怪物に変えられた元病人の主人公とヒロイン。
そんな中、元凶の男が街に現れ、人間を怪物に変えているところを目撃する。


ネット上の感想
最後一緒に歩くところがジーンと来た。もっと悪役の外道感が強いと更によかった。
絶望の中に光が差すようなラストが良かった。
作者にダイヤの原石感がある。もっと描写力が上がれば化けそう。
筆者の個人的な感想
悪役が人間を怪物に変えた最初の理由がしみじみできるものでよかった。
最後ハロウィンと絡めた終わり方が素敵だった。
神切橋の橋渡し 原作:平尾友秀 作画:松谷ゆうた
死んだ父親の声で苦しさを訴えてくる電話がかかってくるようになった主人公。
不思議な事件に遭っている人を助けてくれるという”橋渡しさん”の噂を聞き、噂通りに橋の上で服の袖を落とすと・・・。


ネット上の感想
後味の悪い終わり方が最高。
勧善懲悪の話でないのが一周回って新鮮に感じた。
殺人鬼のデザインはリアリティがあるし、橋渡しもキモくて良かった。
筆者の個人的な感想
スマホを見た犯人の顔が不気味でよかった。
橋渡しさんがあくまでも主人公の味方ではないスタンスなのも他の漫画ではあまり見ないので新鮮味があった。
ラストは後味悪くなっちゃうけど、オカルト物っぽさが出てるし、最後のお父さんに会える日案外早かったねのセリフが面白いので好き。
ジトク 浅井おくた
タイムスリップを悪用する犯罪者を捕まえる警察である主人公。
新しく入ってきた新人の相棒は、過去や未来を守るのでなく、今を守りたいので部署を変わりたいという。


ネット上の感想
脱力系だけど、芯がしっかりした主人公が好き。
初期の銀魂っぽい絵柄が好き。
ギャグものだけど、最後に良いことを言って泣ける要素が入りつつもオチで台無しになるのが好き。
面白いし見やすい。掴みからバッチリ。
バディ同士のやり取りのテンポがとても好きだった。
筆者の個人的な感想
なんでそうなるんだよ!のシーンが他の漫画にない青年誌っぽい味を出しててよかった。
最後熊を殺したかどうかで焦るシーンが面白かった。
いろはの言霊 波風凪
呪いを祓う言霊師である主人公。
下半身が木の根になってしまった娘の呪いをとく依頼を受けることになる。


ネット上の感想
古風な作品に見えるが、今の時代を表している。
レトロなようで今風っぽさもあり、少女漫画っぽくもありそうでもないようにも見える、いずれもしっくりこない不思議な独特さがあり良かった。
筆者の個人的な感想
言霊師の漫画らしく、「言葉」に意識を向けさせるシーンが多く、それが面白かった。
言葉で人が癒されたり傷ついたりなどの描写は今までいろんな作品でやられているけど、マンネリを感じずこの漫画独特の言葉観を感じることができたのもよかった。
剣道8段のおばあさんも面白かった。
ルリドラゴン 眞藤雅興
ある日、女子高生である主人公の頭に角が生えてきた。
疑問に思っていると、自分が人と竜のハーフであることを母から軽いノリで告げられる。


ネット上の感想
ユーモアのあるセリフ回しが良いし、セリフがない時のルリの表情がさらに良い。
他のジャンプ作品が描かないような、日常の切り取り方も新鮮だった。
空気感がよく、リアリティの加減が絶妙でどんどん読めた。
以前の漫画より格段に読みやすくなっている。
ノリの軽い家族が最高。
お父さんに子供の作り方を聞くシーンが面白かった。
筆者の個人的な感想
くしゃみで火を吐くシーンにインパクトと驚きがあってよかった。
それにより喉がやけたりやけどを負ったりするのも細かくて面白い。
ギフテッド 平たくみ
特殊能力を持つ探偵の主人公の元に、怪奇現象に苛まれるヒロインが助けを求めてやってくる。


ネット上の感想
主人公の能力は意外性があり、ビジュアル的にも面白い。
話の終わり方がすごく良かった。
筆者の個人的な感想
悪役に救いのあるストーリーが後味がよくて良かった。
主人公がデカくなってるシーンに迫力がある。
Allez!! 原作:松下村塾 作画:ジョンドン
才能を持ったフェンサーの主人公が、高校のフェンシング部に入部した。
しかしその部では実力者の3年生が後輩から部費をせしめていた。


ネット上の感想
フェンシングについて全く知らないけど楽しんで読むことができた。
ルールが一番わかりやすいエペで試合しているのが読者のことをしっかり考えられている。
絵に迫力があって良かった。
冒頭の「高度な頭脳戦」に期待していたが、本編にそれがなかったのが残念だった。
筆者の個人的な感想
フェンシングができない悔しさを表現しているシーンが熱くてよかった。
全体的に読みやすくスラスラ読み進めることができた。
花は死にたがる 中村ひなた
男なのに花が好きであることを馬鹿にされていた主人公。
そんな主人公を励ましてくれていた母を亡くし、枯れない花を作ることを強く望み始めた。
卒論として行っている枯れない花の研究に打ち込む主人公の前に、花屋のヒロインが現れる。


ネット上の感想
他紙の連載経験者なだけあってレベルが他作品と段違いだった。
枯れない花という題材の使い方が上手で、キャラの心情変化もドラマチックに描けている。
絵が美しく、丁寧な優しい話だった。読んでいてドキドキした。
1度読んだ後にもう1人の視点に立って読むと心に来るものがある。
筆者の個人的な感想
花は自ら枯れたがっているなど、植物の知識が語られているところが興味深くて面白かった。
花を受け取ってもらえないシーンなど、大事な場面がしっかり目を引くようにエモーショナルに描かれていて、読んでて感情を動かされた。
COME TOGETHER 福地優人
ビートルズに感銘を受けた女子高生が、活動をろくにしていない不良軽音部と戦い、新たにロック部を作ることを目指す漫画。


ネット上の感想
軽音部との抗争はテンポがよくて痛快。
1年3組(27) ジョン・レノンが面白かった。
筆者の個人的な感想
セリフや絵が面白くて読んでる最中何度も笑った。
すごく個人的な勝手な意見だけど、セリフにwを使うのはやめてほしいと思った。
奇怪呪壊師解奇譚 比名たろう
クジラの呪いにより黒くなった海を元に戻すため、呪壊師の主人公とその後輩が仕事に向かう。


ネット上の感想
クジラの絵に迫力があり絵の構図が良かった。
世界観・演出・セリフ回しのどれもが素敵だった。
AKIRAの影響をガッツリ受けているようでなんかうれしい。
筆者の個人的な感想
目的地に着くシーンなど、かっこいい構図のコマが多いのがよかった。
最後クジラの群れが来るのも、爽やかでいい。
学ランAWAY アキノリ
女子側の父から交際を認められない高校生カップルが駆け落ちし、世界中を逃げ回る。
娘の彼氏の命を狙ってロボットを送り込んでくる父を、彼氏の持つすさまじいITスキルで倒す漫画。


ネット上の感想
勢いで最後まで一気に読まされた。
好きなタイプのバカ漫画。もっとバカバカしくてもよかった。
ヒロインの顔の圧が印象に残った。
筆者の個人的な感想
ノリとテンポがよくて楽しく読める漫画だった。
断るを断るを断るのシーンが面白かった。
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