2019年2月22日に発売されたジャンプGIGA 2019 WINTER vol.3。

週刊少年ジャンプの増刊号であるこの雑誌には、新人作家の漫画が掲載されています。
それら掲載漫画の紹介と、ネット上の感想をまとめました。
ケモノゴエ 枇杷タイチ
生霊を祓う「気物屋(ケモノヤ)」の主人公。
禍々しい生霊を、戦いではなく対話で救おうとする主人公が、学校のトイレに現れた生霊の想いに応える。


ネット上の感想
絵も内容も良いと思うけど、印象に残る個性がもっと欲しい。
絵力や内容の所々に器用さを感じた。
読みづらく感じた。画面の白と黒のバランスが悪いのでもっと黒ベタを入れてほしい。
大量に文字で説明しつつ読者に想像させるやり方は読んでいて疲れてしまう。
筆者の個人的な感想
敵が霊ではなく、人間であるのがよかった。
主人公のキャラ付けに「根気比べ」を持ってくるのも中々新しくて面白いと思う。
不滅霊魂ホネ美ちゃん 渡辺眞平
悪霊に狙われる体質を持つ主人公は、他人を巻き込むことを避けるために孤独に生きてきた。
そんな中、主人公を騙して利用し、自身の復活を目論むホネ美ちゃんが主人公の元へやってくる。


ネット上の感想
モンスターと少年のコンビ物はよくあるが、モンスターを不細工なクソ女にしたところが新鮮で楽しい。
ホネ美のキャラは表向きの性格も、裏で企んでる部分も両方良かった。
少し売れ線から外れた絵と作風が、作者の世界を表しているように見えたのがよかった。
もう少しアクションシーンが派手だとよかったのかもしれないけど、この作品にはこのくらいのアクション描写のほうが合っているのかもしれない。
主人公の自己犠牲精神や、ホネ美が人間不信になった過程が大雑把で説得力が感じられなかったので、その辺を丁寧に描いてほしい。
筆者の個人的な感想
キャラの表情、ポーズ、掛け合いがしっかりしていて楽しく読めた。
絵柄が地味に見えるけど、要所要所で目を引く魅力的な絵が描かれているのもよかった。
アルククラッド 迫賢利
代々伝わるゴーレムの創成書を持つヒロインと、それを狙う悪党錬金術師。
その争いに巻き込まれ、錬金術で体の一部がゴーレムになった主人公。
錬金術を失敗ばかりするヒロインのため、主人公が体を張っていろいろやる漫画。


ネット上の感想
ヒロインが理不尽なことに自覚があるのが好印象。
ヒロインの感情表現や、表情の描き分けがしっかりできていて良かった。
絵で魅せられる画力を持っているのにコマが小さくてもったいない。
設定の説明にページを割きすぎている気がするので、もっとドラマの部分に重きを置いてほしい。
筆者の個人的な感想
体が燃えながら再生する見開きのシーンがかっこよかった。
ソードインザシティ 原作:綿引智也 作画アントンシク
魔物の生息地に囲まれた都市国家。
市民は剣を持ち、魔物に対抗している。
市民では対応できない魔物の駆除、また、武具の製造・宣伝を生業とする職業の「プロ剣士」である主人公が属する中小企業は倒産の危機にあった。
自社の剣を使い活躍できたら市民への、自社製品のいい宣伝になるのだが・・・。


ネット上の感想
宣伝して終わるラストがよかった。
冒頭の巨大な魔物と戦う普通のおっさん共のシーンがすごく良かった。
それなりに読めるけど、もう少し作家性や商業性が欲しい。
一発ネタとしては悪くないけど、作画を替えてまで引っ張るような話ではないように感じた。
筆者の個人的な感想
ジャンプっぽいバトル要素よりも、会社の経営の傾きや人間ドラマなどの描写に力が入っているように見えて新鮮味を感じながら読めた。
ワンパンマンみたいに、ヒーローの活躍と現実的な部分を絡めている部分も面白かった。
MASK -究極完全体 青野鼓太郎- 城本祥
悪名を轟かせていた不良が、関西弁Gカップの美少女と付き合うため、勉学スポーツおしゃれに励み生活を一変させた。
彼の努力は実るのだろうか。


ネット上の感想
主人公が我慢して最後で暴れる展開はベタだけど、カタルシスがあって面白い。
今のジャンプをヤンキー物でアルゴリズムできるかわからないが、絵も話も完成度が高い。
ヒロインが鈍いというより間抜けすぎて個人的には受け付けなかった。
筆者の個人的な感想
全体的に雰囲気が明るく、ストレスなく読めた後味のいい爽やかな漫画だった。
ヒロインがかわいい。
学校戦争 西野彬秀
部の設立に最低3人の部員が必要な学校で、部員が2人だけの
戦争研究部を認可させるために生徒会と戦争を行う主人公たち。


ネット上の感想
陰惨さのない戦争物いいね。
やられ役のメガネが最後に勇気を見せたのが良かった。
女子生徒と教師のパートがラストへの伏線になっていたり、読者の予想を裏切ってやろうというストーリー作成能力は光るものを感じる。
筆者の個人的な感想
メダロットっぽいデフォルメされたシンプルなキャラデザが好み。
絵柄が独特でいいと思うけど白い部分が多くて読みづらいとは感じた。
最後の、よそ見してなかったというシーンが好き。
OFF THE GOAL 原作:中西純一 作画:松本直記
名門サッカー部に所属する高校生の主人公。
すさまじい実力を持ちながらも、父親から背負わされた4億の借金によりまともにサッカーがプレイできない状態だった。
借金取りがグラウンドにやってきて練習が阻まれるため、監督やチームメイトに疎まれる主人公の元に謎の金髪が現れる。


ネット上の感想
掴みはいいし、4億借金で微妙にマウンティングしてくる主人公も面白かった。
借金が4億あろうが好きなものに熱中するストイックな姿勢を持つ主人公は支持する人がいそう。
話を捻ろうとしてるのはいいけど、そのせいで所々混乱する部分があった。捻りつつもわかりやすい構成ができるようになってほしい。
親の借金は相続放棄できるので、少年が4億の借金を背負う理由をちゃんと用意していてほしかった。
筆者の個人的な感想
才能はあるのに借金のせいでプレイできないという設定が新しくて面白かった。
ストーリーや設定がごちゃごちゃしてなくて読みやすいのもよかった。
MOON LIGHT 辻田大誠
2069年、地球を征服するためにやってきたエイリアンの巣窟と化した東狂(トウキョウ)。
地獄と化した世界なら、自分の手で変えるしかないと行動する主人公の元に謎のエイリアンが現れる。


ネット上の感想
悪役が好き。こういうわかってる悪役は魅力的。
笑いや友情ドラマはNORAより上がっていた。
エイリアンがパーカーになるのは楽しいが、結局武器が剣なのはがっかり。ありふれてるし世界観にも合ってないと思う。
筆者の個人的な感想
セリフやテンポなど、至る部分に確かなクオリティを感じた。
絵柄も好きだし別の漫画も読んでみたい。
やってみよう兄弟 平川もそ
富士山登頂、オゾン層の復旧、宇宙旅行・・・なんでもやってみる行動派の兄弟が繰り広げる超次元ギャグ漫画。
その手があったか。


ネット上の感想
ツッコミ不在でテンポが速く、奇想天外なところが面白い。
その手があったかの言葉の強さがいい。
キャラの好感度は高いがギャグは弱い。
ショートギャグの詰め合わせは、なんでもありになる反面、面白さが蓄積されないので余程ギャグが尖ってない限りデメリットのほうがでかいと思う。
筆者の個人的な感想
兄のキャラデザが好き。
オマエ1人の宇宙旅行はよのシーンが面白かった。
巨人高校生 都々逸どんき 高野須翔
名古屋上空に現れた謎の巨大な穴と、穴から現れる怪獣たち。
穴に触れた主人公どんきは、なぜか体が巨大化した。
怪獣退治に活躍したどんきだったが、次第に怪獣は現れなくなり、ただ大きくて邪魔なだけの彼は周りから疎まれはじめた。


ネット上の感想
敵がいなくなった後のヒーローという、みんながあまり書いてこなかったところをうまく書いていてよかった。
読み切りとしての完成度が高いように思う。違う作品も読んでみたい。
絵は上手く、話も独創的だが、展開や起伏が乏しく少年漫画というより童話のような味わいだった。
筆者の個人的な感想
どんきが反省して終わる辛気臭くなりそうなストーリーだと思っていたから、いい意味で裏切られた。どんきは変わらないというテーマを生かした、怪獣に近づいていくという重めの設定が入るのもよかった。
前向き戦士!!ポジティV!! 小路壮平
オーディションに落選続きのアイドル志望の前に、あらゆることをポジティブに捉える前向き戦士ポジティVが現れる。
同時に、人々のメンタルの弱体化を目論む悪の団体「メンタルブレイカーズ」も現れて・・・。


ネット上の感想
読んでて楽しくはなった。
メイン2人の好感度は高いが、ギャグがいまいち弱い。
画力の割にヒロインをかわいく描けている。
ポジティブが似たような押し付けばかりに感じた。
筆者の個人的な感想
笑いながら読むことができた。
キャラ全員、そこまでキツい表現のボケやツッコミをしておらず、割と平和な雰囲気を保っているのも好感的だった。
MONKEY PUNK 乾修二郎
暴力が支配する街「アッシュ・タウン」。
賞金首を殺して生活する主人公一行の元に、汚いことはせずに生きていくことを望むヒロインが現れる。


ネット上の感想
絵と作風がマッチしている。
数年に1度、なぜかジャンプに現れる鉄コンフォロワー。オリジナリティは感じなかったが、不殺云々を独自に付与してたのはよかった。
池本幹雄のCOSMOSと似すぎている。
筆者の個人的な感想
絵がかっこいい。
ヒロインが勝手についてきて自分語りしているシーンで「へェ・・・」など本当にどうでもよさそうな雰囲気を出してるシーンが好き。
あとヒロインは可愛くはないと思うけど、ご飯を食べてるシーンなど愛らしく感じられるシーンが多くて好き。
忘却の呪人 たかむら
母を亡くしたショックから、自分をゲームのプレイヤーだと思い込み様々なトラブルに首を突っ込むようになった主人公。
周りの人間をただのグラフィックだと認識し、触れられることを嫌う主人公の元に、同じようにトラウマを持った人間が現れて・・・。


ネット上の感想
現実の中に得体のしれない者どもが現れる惨幻想的な雰囲気が上手。
ジャンプでヒロインなしの怪物退治系をやって読ませたことがすごい。
NOW LOADINGのコマがかっこよかった。
絵は上手いが、作者が一生懸命考えた設定が面白さの足を引っ張っているように感じた。ゲームを漫画に落とし込むのには、冨樫並の技量が必要。
個人的な感想
親玉っぽいおっさんが敵じゃなかったのが意外でよかった。
自分をゲームの主人公と思い込んでいるキャラってのは新しくて面白いと思った。